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狭小住宅 ゾーニング


建物ボリュームの可能性がわかれば、建主さんの要望リストをもとにマドリを検討する。

重要なことはリクエストから何が読み取れるか。

コンパクトにならざるを得ない住環境になるので、これだけは重視されたいものがあればそれを中心に探っていく。

要望シートのリクエストが全てではないが、ファストプランをもとに打ち合わせをすると、隠れたニーズが発見されることが多々ある。

建主さんがファストプランで気が付くこともあれば、私たちから大安としてご提案させていただくこともある。

まずはリクエスト通り忠実にマドリを作ってみる。

 

建物内部を検討する前に外部空間を検討する。

駐車場や駐輪場などのリクエストがあれば、そのスペースと動線を確保する。

残りの建物ボリュームの外周に外壁を作る。

室内の間仕切り位置は頻繁に変更されるが、外壁の変更はあまり多くない。

実際の壁厚を想定して配置しておくと、室内の有効スペースを確認しやすくなる。

 

建物内部の検討にあたり、ゾーニングと呼ばれる諸室をグループにしてその配置と動線を考える。

通常グループは

①L・D・Kのエリア

②水回りのエリア

③階段

④その他

になる。

これらをそれぞれのグループとしておおまかに配置する。

(私は④のその他は個室や納戸はグループではなくて各部屋単位で配置している。)

 

水回りは概ね設備で大きさが決まるので想定はしやすい。

例えば、風呂は1坪、洗面脱衣1坪、トイレ0.5坪を標準にして、要望や条件によって調整する。

一方L・D・Kや個室は、それぞれの暮らし方・考え方によって変わってくる。

LDKは日当たりと眺望などから2階が好まれている。

 

一度、LDKが3階にある戸建て住宅を、旅館に用途変更したことがあった。

リビングの天井は屋根形状にあわせて高く、バルコニも隣接して開放的もあった。

しかし、1階と3階を食材や生ごみを持って上り下りすることを考えると、日常的には負担が大きいのでおすすめはしない。

 

個室の配置についてリクエストがなければ、可能な位置に配置する。

3階建ての1階の居室は普通だと採光NGになるので、最初は計画に見込まない方がよい。

 

狭小住宅のゾーニングで頭を悩ませるのは、廊下と階段。

廊下は極力短くしてその分部屋のスペースにあてようと試行錯誤が続く。

階段は位置と階段形状によって、動線と部屋の形に影響するので悩みは尽きない。

階段もコンパクトがいいのだが、住宅の中で事故多発現場なので、安全性を見ながら検討する。

 

そして、階段始まりの上部空間が開いているので、北側の斜線を受ける屋根にそって階段を配置すると、無駄なスペースを削ることができ、階段とその対面の天井は逆に高くとれているので、ロフトなどに利用できる。