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狭小住宅 窓①

 敷地いっぱいに建築しようとすると、採光上有効な開口は道路側に限られてしまう。

地震や台風など横からの力を受けた時、耐力壁が建物の中央から遠いほど、耐力壁は建物の安定化に作用する。

建物が高層化するほど1階の耐力壁は増える。

したがって、建物の間口が狭い3階建ての1階に、大きな開口はとりづらい。

従って採光を必要とする居室を設けるなら、多少の工夫が必要になる。

1階に納戸が多いのはこのため。

 

1階居室にする方法として、隣地からの離隔距離を長めにとれるように平面を工夫したり、2階の一部をセットバックさせて、1階に屋根を掛ければ、トップライトから採光は取れる。

住宅用のトップライトは開閉するのだが、なぜか排煙用として使用できない。

木造の場合、天井が高い居室は排煙免除の告示が使えず、NGになってしまうことがある。

トップライトの開放は斜線制限内に制限される。

 

デザインと快適性を求め大きな窓は、竣工写真の見栄えもいい。

しかし、住み始めると苛酷な現実と向き合うことになる。

暑い・寒いは窓からと言われるくらい窓の熱的性能は低い。

窓の断熱・遮熱性能は高くなっているが、それ以上に地球温暖化への配慮が先進国の課題になっている。

 

大きな窓でFIX、バルコニもないものをみる、窓の清掃はしないのか?と考えてしまう。

窓の上に大きな庇や屋根かかると、埃が雨で流されずそのまままだら模様を作り出してしまう。

折角のスタイリッシュな住宅も、中から見ると悲惨な状況である。

窓の選定には清掃の事を考え、窓を組み合わせて清掃が可能になるものにする。

例えば、FIXの両サイドには竪辷出窓にする。

防火認定が必要な木造サッシの場合、連窓や段窓と呼ばれるサッシ同士を左右や上下に連結させて使うことができない。

必ずサッシの間に外壁を必要とする。

連結させて防火認定をとっていないからだ。

 

街中の大きな窓はプライバシから一日中カーテンを開けられない状態もある。

いっそのこと、透明ガラスにしない選択肢もあるが、なかなかクライアントから同意は得られない。

建築家好みではあるが。