BIMは内製化か外製化か

BIMの内製化は、人材とルールの整備の観点から、短期間では難しい。

BIMを根付かせるには、トップダウンかそれともボトムアップか?

 

企画や基本設計までを設計者自らが、BIMを操作して設計方針を固める点は有効である。

基本設計レベルであれば、BIMの基本操作をマスタすれば対応可能であろう。

 

基本設計が決まり、実施設計の段階になると、相応のBIMスキルを持つオペレータが必要になる。

規模にもよるが、数人でチームを組んでデータを共有しながら作業分担できる体制が必要になる。

短期間にそれを実現しようとするには、BIMオペレータを束ね、設計者の意図を理解できるBIMマネージャは欠かせない。

人材獲得の問題が起きる。

 

BIMの内製化は可能か?

つまり自社でBIMオペレータとBIMマネージャを育てられるか。

結局のところ全てを内製化するにはリスクがある。

そこで、内製化は一部にとどめ、パイロットプロジェクトで実施しながら、BIMの目的とルールを整備しることになろう。

そこでルーチンワークを見つけ、外部委託してリスクとコストを抑える。

 

企業によっては、一つのプロジェクトを内製と外製の両方で進めるケースもある。

一つは内製化に向けたスキルアップ、もう一方は保険である。

それだけの余裕があるところは羨ましい。

 

外部委託からノウハウを吸収して、それを内製に転化して、一方で外部委託者を自社仕様に慣れて効率化させる方法もある?

BIM生産体制の整備

BIMを導入したあとの苦労を、私たちも身にしみて実感しています。

BIMの知識とスキルを得た後には、設計BIMの生産体制が課題になります。

特にBIM人材の獲得と自社用テンプレートとルールの整備は、重要事項です。

当社では、テンプレートとルールは今も改善が続いています。

 

BIMを導入して、BIM推進ご担当者が知識とスキルを得た後には、実働できる人材が必要になります。

CADオペレータからBIMオペレータへの転身を発想される方もいらっしゃいますが、現実はそう簡単では有りません。

BIMオペレータには特有の能力が必要だと感じるからです。

3Dを扱い、それを多方面から加工して2D図面にすることは、容易では有りません。

CADは描いたものをそのまま出力することができますが、BIMはそうは行きません。

まさに次元の違いであり、すでにその人材は足りていません。

やっと、大学や専門学校でもBIM教育は始まりましたが、まだ供給は整備されていません。

 

設計BIMで効果を得ようとすると、BIMのスキルと建築の知識が不可欠です。

さもないと、設計者自らがBIMオペレータに指示を与えることになり、設計BIMの効果は得られません。

時短効果が期待できるはずが、肝心の設計がおろそかになったり、BIMに時間と手間が掛かり生産は上がらない。

むしろしばらくは生産性が低下する事態になるでしょう。

 

設計者とBIMオペレータの中立ちになれるBIMマネージャが必要です。

BIMマネージャは建築の知識とBIMのスキルを持って、BIMオペレータを指示して、BIM成果品を獲得します。

 

BIMマネージャはBIMと建築に優れた人材ですのでさらに貴重です。

 

BIMの普及が遅れた日本においても、徐々にBIMが整備されています。

当然、人材の問題が起こるでしょう。

そして、BIM人材を獲得しながら生産体制を整備していくことが大きな課題になります。

BIMの目的は何か

設計BIMで獲得したいものは何でしょうか?

それによって、習得すべきBIMのスキルや生産体制は異なって来ます。

 

わたしたちは当初からBIMの目的を明確に持っていたわけでは有りません。

BIMが高価なため代用で、3Dの間取りソフトと2D CADを使っていました。

間取りソフトはBIMのおもちゃ版ですが、しっかりと平面図と立面図と断面図とパースは簡単に作る事ができました。

企画段階ではそれなりに成果は得られました。

デザインの制約は有りましたが。

 

そんな経験から本物のBIMへの期待は大きく、いざ手にしてみるとコマンドと設定が多くて複雑で、いつまでも初心者コースを漂っていました。

それでも見よう見真似で、市販のテキストやメーカのチュートリアルをこなしていたら、いつの間にか住宅の確認申請をBIMで出していました。

「習うより、慣れろ。」まさにそのとおり。

BIMを実践しながら壁に当たると、サポートデスクに助けてもらう。

その繰り返しでスキルが身についていきました。

今では毎週、BIMスタッフと「今週の発見とヒアリハット」を報告しあって、共有してマニュアルにしています。

 

わたしたちがBIMで得られたことは、設計期間が短縮できたことと、設計品質が上がったことです。

設計時間の短縮は特に変更対応については歴然です。

一度モデルと図面設定ができてしまえは、モデルを変更すれば全ての図面が自動的に修正されます。

その逆もありで、図面が変更さればモデルも自動的に修正される。

従って2D CADのように修正漏れがないこと、どこかの図面と別のどこかの図面がモデルを介して連携されているからです。

そのため、時間が短縮されます。

そして、2Dで加筆をしていなければ図面間の不整合も起こりません。

設計品質も自動的に上がります。

 

設計BIMによって、確実に獲得できることは設計スピードと設計品質です。

設計の生産性はBIMの恩恵です。

BIM進化系

今やBIMなしでは当社の設計業務は成り立たないだろう。

そのくらいBIMの恩恵を受けています。

いまでは2D CADの頃を想像したくないくらいです。

学生のころ、こんなものが身近にあったらもっと製図の課題は楽だったのにと、過酷な当時を思い出します。

 

何が違うか。

端的に言うと、サイバー空間にゲーム感覚でデジタル・アーキテクチャを作る。

ヴァーチャルな世界に身を投じながら空間を組み立てています。

 

モデルを作るのも楽です。

BIM以前にも3D CADを使っていましたが、図面とモデルは別物でした。

従って、設計プロセスも変わらず、図面ができてモデルがつくられ、それを設計にフィードバックする。

模型が3Dモデルに変わったものでした。

 

今やBIMの進化は凄まじく、特にヨーロッパ。

BIMは建設のためだと思っていたら、ビルオーナが建設後に使うためのものになるらしい。

設計BIMはその前哨戦に過ぎない。

デジタルツインも視野に入れて動き始めているのだろうか?

周回遅れにならないよう、BIMの進化についていかねば。

 

BIMか模型か

BIMを使い始めて、これまで図面に描いていたことや模型で作られていたことは、代表的な部分しか設計していなかったことに気づきます。

3Dモデルを見ると、改良の余地がふんだんに見つけられます。

設計したつもりでいたのに。

もしかするとこれは、監理において施工者からよく質問される「納まりがわからない」ことと同じかもしれません。

設計の不整合を含む未完成部分が取り除かれると、監理の負担や施工のリスクも減らせるのではないかと考えます。

 

3Dモデルの多彩な表現は、設計内容を別の視点から気付かさせてくれます。

正確な3Dモデルと適切な表現設定によって、図面はその通りに作られます。

それによって経験の少ない若手は著しく成長します。

 

3Dモデルと図面が連動することは、模型にはかなわないことでしょう。

デザインしながら3Dで確認して、設計にフィードバックできる。

設計BIMの醍醐味の一つでしょう。

ワクワクします。

デザイナBIM

わたしたちは建築設計事務所として、設計のためにBIMを使います。

特別な建物ではなく、普通の建物を普通に設計しています。

主には小さなホテルと小さな住宅です。

 

BIMにはたくさんの機能があります。

でも、わたしたちが使う機能はその一部に過ぎません。

それでも十分な効果は得られています。

設計スタイルにもよるのでしょう。

モデルも図面も正確に作れること、変更が容易にできること。

そして、簡単に図面に反映できます。

このBIMの基本的な機能だけでもいろいろなことが効率化されました。

 

設計プロセスが変わります。

設計が具体化に向けてフロントローディングされます。

これまで基本設計と呼んでいたフェーズが、より具体化され詳細度が上がります。

 

また、3Dによる効果は空間の理解が進み、クライントや施工者とのコミュニケーションが深まります。

設計会議にBIMを使うと、工務店さんも含めて多くの方が驚かれます。